東京宝塚劇場で上演中の月組公演『I AM FROM AUSTRIA』
以前、当ブログですでに観劇した方たちの感想と見どころをまとめましたが、遅ればせながら観劇しましたので、今回はわたくし、きりん。の感想をメインに書いていきます。
期待値の高い作品。
実際にどう感じたのか率直に綴っていこうと思います。
さっそく始めましょう!
目次
『I AM FROM AUSTRIA』感想【ここが残念】
日本とオーストリアが国交を樹立して150周年という記念の年に日本初演となった『I AM FROM AUSTRIA』
①宝塚で馴染み深い『エリザベート』を生み出したウィーン劇場協会の新作
②すでに観劇した方の感想は好評なものが多い
このような理由から、それなりに期待していた作品でした。
…ですが、率直に申し上げると【期待を越えるものではなかった】というのが正直な感想です。
まず、宝塚で上演するにあたり、どの程度アレンジされているのかは分かりませんが、主に気になったのは以下の点。
◆映像の使い方が効果的ではないように感じる
◆役の割り当てが微妙
◆間延びした印象で一本物の醍醐味を感じられなかった
出演者というより、作品や演出に関して思うことが多かったという印象ですが、1つずつ見ていきます。
①映像の使い方
幕が開く前から、あと〇分というカウントダウンが映し出され、これまでにない演出で面白いと感じました。
さらに、幕があくと出演者の映像と名前が出るという演出も映画かTVのようで舞台では斬新に感じました。
ここまでは、「新しい」「面白い」という印象を受けたのですが、ホテルでのシーンで映像が多様されていたことで少々お腹いっぱい気味になってしまいました。
例えば、暁千星さん演じるパブロの登場シーンや2幕のジムのオープニングイベントのシーン。
出演者が大勢舞台の上にいるときに、画面に言葉が大きく映し出されるという演出が多い。
個人的には、景色や模様なら、画面に映し出されていたとしても背景の一部として認識できるので、それほど邪魔に感じないのですが、言葉だとつい見てしまう…。
そうすると、舞台上の出演者の作り出している空間に突如言葉が飛び込んできて、目線も忙しい。
①舞台でのセリフ(または歌詞)と②映像で映し出される言葉は同じものではなく、別物として認識してしまうので、せっかく舞台で作り出している空気感が壊されてしまうように感じて、個人的には邪魔なものでした。
また、ジョージとエマがオーストリアの美しい自然を目にしながら、「ふるさと」について語り合うシーンも、雪山が映像として映し出されているのですが、小学生が書いたような三角の白い山という印象しかなく、この映像で「美しいオーストリアの風景」を語られても心に響かない…。
宝塚には素晴らしい技術を持つ大道具さんがいらっしゃるのですから、美しい景色を作り出してもらいたかった…。
せっかく心に残るいいシーンなのに、残念でした。
②役の割り当て
トップコンビであるジョージとエマの登場シーンは多いのは、当たり前なのですが、他の主要キャストと呼ばれる方の出演シーンが少ないのも気になりました。
役自体が少ないのでしょうか。
わたくし、きりん。は特定の生徒さんのファンではないので、「ご贔屓の〇〇さんの出番が少ない!」という感想を持つことはないのですが、全体的に月城さん、暁さんのような番手スターも出番が少なく、月城さんに至っては、最初から最後まで変化することのない役なので、あの約に月城さんを起用することのもったいないさがぬぐえません。
登場人物はたとえ、ヒール役であっても劇中でその人なりの変化や気付き、成長 (改心することだけではなく) を垣間見ることができると、観客は感情移入したり、理解しようとするものだと思います。
それが、リチャードにはなかなか見られない。
果たして2番手がやる役なのか疑問でした。
また、パブロを演じる暁さんの存在感やスター性が充分に発揮されているのですが、いかんせん出番が少ない。
舞台上にいる時間は、風間柚乃さん演じるフェリックスの方が圧倒的に多く、フェリックスのキャラクターを少し変えても、暁さんが演じるという選択肢もありだったのではないかと思います。
③一本物の醍醐味が…
全体的に変化はしているのだけど、その印書が弱いのか一本物の醍醐味を漢字にくく、残念でした。
①ジョージとエマのシーン
②ホテルのシーン
が繰り返された印象で、変化を感じにくい。
もちろんホームレスの人たちが登場する場面はよかったのですが、それ以上に全体的に間延びした印象がぬぐえず、さっきも同じようなシーン見た気がするな…と錯覚してしまうような…。
集中して見続けることができず、正直「長い…」と思いながら客席に座っていたように思います。
『I AM FROM AUSTRIA』感想【ここがいい】
これまで気になったことばかり書いてきましたが、もちろんよかったと思えるところもありました。
◆楽曲
◆出演者の好演
①楽曲
主題歌の『I AM FROM AUSTRIA』はとても美しい旋律で、耳に残るステキな楽曲でした。
ジョージとエマの心情が歌を通してもよく伝わってきました。
② 出演者の好演
この作品でもっともよかったことは、1人1人の生徒たちの好演が光った点だと感じます。
珠城りょう
おぼっちゃまだけど素朴で優しさと信念が強いジョージをいう役にぴったり。
宝塚のトップスターとして、いい意味でギラギラしていない珠城さんの良さが最大限現れた役だったのではないでしょうか。
美園さくら
エマのハリウッド女優ぶりがよく表現されていて、歌もよかった。
娘役ではなかなか聞かない低音での歌唱も魅力的でしたし、ジョージとともに過ごす中で、大女優である前に1人のオーストリア人・エマの心情の変化を巧みに表現されていたように思います。
セリフ回しが少々聞きづらい部分もありましたが、そこを除くととてもよかったと思います。
月城かなと
前述したとおり、リチャード自身は変化は少ないため、正直難しい役だと思います。
その中で、月城さん自身の魅力を出すのに苦労したのではないかと…。
「ウィンナー野郎」の回数が多くて後半耳障りでしたが、リチャードという人物の中では最大限頑張っていたと思います。
ただ、魅力あるヒール役ではなかったというのが残念ではありますし、もうちょっと別の役で月城さんを見てみたかったという気持ちもありますが…。
鳳月杏
『I AM FROM AUSTRIA』の中で、もっとも好演だったのが鳳月さんではないでしょうか。
最高に魅力的なお父さんをユーモアたっぷりに演じていらっしゃって鳳月さんの登場シーンの安定感、安心感がとにかくすごい!
心の余裕・遊びがセリフにも表れていて、肩に力の抜けた演技が秀逸でした。
花組時代の鳳月さんよりさらに、古巣に戻って大きく成長されたように感じます。
また次の舞台も観たい!と思わせてくれる、そんな魅力ある方だと思います。
暁千星
出番が少ないなか、最大限、暁さんの魅力を発揮されていて、好演だったと思います。
あのスター性、カリスマ性は本人がオーラを持っていないと出ない独特なものでしょう。
後半はかわいらしい部分もあり、以前より役の幅が広がったように思いました。
まとめ
ここまで『I AM FROM AUSTRIA』の個人的な感想を書いてきました。
初見だったこともあり、見落としている部分も多々あると思いますが、生徒1人1人の個性と演技や光った公演だと思います。
また、他の出演者に関しても追記していこうと思います。