宝塚歌劇団の中堅男役の組替えが発表されました。
【組替え】は、珍しいことではありませんが、
ここまで同時期に、そして大量に発表されることは極めて珍しいことです。
さらには、組替えは生徒の今後を大きく左右するものだけに、ファンは熱くなりがち。荒れることが多々ありますが、
今回のように組替えとなる人数が多いため、
思惑と感情が入り乱れることは避けられないでしょう。
今回は宝塚の組替えと荒れる理由について考えます。
目次
組替えって何?
組替えを理解するためには、まず宝塚の【組制度】について
知っておく必要があります。
宝塚の組制度って?
宝塚歌劇団には5つの組があります。
花組・月組・雪組・星組・宙(そら)組です。
5組にはそれぞれトップスターが存在し、組ごとの特徴があります。
さらに上記5組に加え、どの組にも出演することができる
ベテランの【専科】というグループがあります。
宝塚の生徒は、5組または専科のいずれかに所属し、
かけもちすることはありません。
組替えとは人事異動
組替えとは・・・
それまで所属していた組(または専科)から
別の組(または専科)に異動すること
一般企業の人事異動と同じです。
ただし、本人が希望を出すということはなく、
劇団側に決定権があります。
組替えが行われる理由は?
組替えがどんな理由で行われるのでしょうか?
①組のバランスを取る
②ダンス、歌など生徒個人の技量を生かす
③同期同士などの話題作り
④身長やビジュアル
⑤トップスター候補、相手役候補
様々な理由がありますが、一番の理由は
【魅力ある組】の維持・存続です。
どの組もトップスター、2番手、3番手・・・など
序列があり、
強みを生かし、弱点を補うための人事異動。
それこそが組替えの目的なのです。
なんで荒れるの?
魅力ある組にするための組替え。
・・・のはずですが、発表と同時に宝塚ファンの間では
荒れることが珍しくありません。
一体なぜなのでしょう?
荒れるケース① シナリオと現実
いきあたりばったりの人事をしている企業は
いずれ業績不振に陥ってしまいますね。
劇団運営も同じでしょう。
生徒の個性、技量、人気、伸びしろなど様々な要素を
総合的に判断して、入団当初から
スター路線かそうでないかの第一シナリオが出来上がります。
現実になるかは、本人の努力、周囲の環境によって
変わりますが、劇団側の見立てがファンに受け入れられるかは
別の話。
宝塚ファンは、長年にわたり観続ける目の肥えたファンが多く
養成機関である音楽学校時代から、
将来性のある生徒を見抜くセンスを持っているファンも
少なくありません。
そのようなファンの目と劇団側のシナリオにずれが出てくると
「なんでそうなった?」と頭をひねっても、
その理由が分からない組替えとなってしまい、
ファンは荒れるでしょう。
荒れるケース② 時代
毎年、約40人の初舞台生が入団する宝塚歌劇団。
トップスターの在任期間は平均3年と言われています。
その間、2番手、3番手と呼ばれるスターが
大きく変動することは、多くはありません。
(もちろん中には退団や組替えで変動はあります)
しかし(言い方が悪いですが)
10年くらいの周期でスターが詰まる時代がやってきます。
そのスターたちの人事に、劇団側が頭を悩ませた結果、
ファンの不満があふれ出してしまう場合があります。
このような場合は、同時期に組替えになる生徒の数が
多くなる傾向があります。
荒れるケース③ 序列の崩壊
宝塚の各組には、 トップスター以下しっかりとした序列があります。
大前提となるのは【学年】です。
トップスター、2番手、3番手・・・という
スター路線の生徒たちの場合、序列は学年が上の生徒から
という大前提があります。
しかし非常に稀ですが、その序列が逆転する人事があります。
例えば、トップスターが2番手より学年が下というケース。
学年順に階段を上がるというルールが崩れることになりますので
ファンは荒れます。
特に2番手を応援しているファンにとっては
「トップスターにならずして退団してしまうのか?」と
大荒れになるでしょう。
愛月ひかる・永久輝せあ・・・
今回の組替えの注目は?
ここまで宝塚の組替えについて考えてきましたが、
2019年8月2日、5人の組替えが同時に発表されました。
綺城 ひか理:花組から星組へ
朝月 希和:雪組から花組へ
永久輝 せあ:雪組から花組へ
紫藤 りゅう:星組から宙組へ
愛月 ひかる:専科から星組へ
①スター路線の中堅男役の複数異動
②専科に移動したばかりの愛月ひかるの再移動
が注目ポイントです。
この中でもっとも荒れそうな人事は愛月ひかるでしょう。
荒れるケース③「序列の崩壊」に該当するからです。
専科にいる限り、トップスターの道は閉ざされますので
星組へ異動し、どうなるか今後の星組が注目です。
さいごに
宝塚の組替えについて解説してきましたが、いかがでしたか?
当たり前ですが、誰もが満足する組替えは存在しません。
しかし、それぞれの主張や批判だけでは良くなることもありません。
【魅力ある組】は、結果的に【魅力ある宝塚】となります。
わたしたちファンにとっても生徒自身、また劇団運営者にとっても理想です。
それぞれが感じる「魅力」が近ければ近いほど、
宝塚は魅力的になるでしょう。
引き続き、今回の人事の行方を見守りたいと思います。