2019年11月24日、花組トップスター・明日海りおさんが宝塚を卒業しました。
千秋楽の様子を伝えるニュースには【平成を代表するトップスター】という文字がありました。
美貌と美声、美しい立ち姿と、男役への飽くなき探求心と情熱で、絶大な人気を誇った、まさに【宝塚の宝】とも言うべき明日海りおさんが男役として最後に語った退団挨拶を中心に、千秋楽を振り返りたいと思います。
と、その前に1つだけ嬉しいご報告をさせてください。
前回書いた記事【明日海りおの『ケサラ』がよすぎる!…】のあと、記事内で紹介したオペラユニットTHE LEGENDのメンバー、内田智一さんからコメントをいただきました。
「明日海りおさんに歌って頂けてメンバー一同大喜びです」というコメントに、とても嬉しくなりました♪
明日海さんのおかげでこのような素敵なつながりを持てたことに感謝したいです♪
それでは、さっそく始めましょう!
目次
明日海りお最後の大階段の様子【東京・千秋楽】
組長の高翔みずきさんと組子全員から「みりおさーん!」と呼ばれ、返事をする明日海さん。
短く、潔い「はい」という声とともに、『すみれの花咲く頃』の演奏の中、下手(舞台に向かって左側)から大階段の中央へ向かって歩を進める明日海さん。
男役を情熱的に貫いてきた明日海さんの秘めた心が静か、でも確実に観る者に伝わるような、そんな返事に聞こえました。
大階段の真ん中で正面を向き、まっすぐ前を見据えて、1段1段階段を降りてきます。
本当に最後の大階段。
これまでの宝塚人生を歩いてきたその両足で…。
踏みしめるように、でも軽やかに1歩ずつ…1歩ずつ…。
17段降りたところで、ほわっと照明に照らされ、足を止め、きりっとした表情と少しの笑みをたたえながら一礼。
黒紋付に緑の袴姿。
宝塚歌劇団の生徒としての正装で、照明の中に姿を現した明日海さんは、数々の重責を背負ってきたとは思えないほどの華奢ななで肩とすらりとした細長い首がとても印象的でした。
階段を数段残したところで、組子を左右に見ながら白い歯がこぼれます。
舞台に降り立つと、再びきりっとした表情で前へ進み丁寧に一礼。
高翔さんの「組からと、同期生からのお花です。同期生は、羽桜しずくです」という紹介とともみ、下手より羽桜さんが登場。
そして、柚香光さんが明日海さんへ組からのお花を渡します。
両方で合わせるタイプではなく、花束をななめに持つタイプ(伝わるかな…汗)。
花の種類は、おそらく白いカラーと紫の紫陽花が下の方にあしらわれているように見えました。
明日海さんは好きな花に【桜・紫陽花】と書かれているので、紫陽花を選ばれたのでしょう。
羽桜さんは、紫陽花の花束を渡しながら、明日海さんに一言声をかけられていました。
羽桜さんはが何を話されたのかは分かりませんでしたが、その言葉を受けた明日海さんは「はい、ありがとうございました」と言っているように見えたので、羽桜さんは「お疲れ様」だったのかな?
同期のお花渡しは、クスクス笑ったりすることも多いのですが、意外にシンプルな印象を受けました。
そして、羽桜さんが袖に入るのを笑顔で見送っていた明日海さんは、再びきりっとした顔つきで5歩前で歩を進め、再び一礼。
みなさま、本日は千秋楽の舞台とサヨナラショーをご覧いただき、誠にありがとうございました。
という、宝塚大劇場でもそうだったように、トップスターとして千秋楽を観劇した観客への感謝の言葉から退団挨拶が始まりました。
これまでの退団者は、最初から退団挨拶をするスターさんが多い印象がありますが、明日海さんは、まず「自分のことの前に主演としてやるべきこと」という気持ちが強いのでしょう。
明日海りお退団挨拶ー全文ー【東京・千秋楽】
今年の3月に卒業を発表してから…今に至るまでに…「あぁ、こんなに宝塚が好きなのに…どうして辞めることにしたんだろう…。一生男役をやっていればよかった…。」
そう…何度も何度も思ってしまいました。
ですが、たった1度きりの人生の中で、そこまで夢中になるものに出会えて、そしてそれを17年間続けてこられたことは…わたくしの人生の中の、1番の奇跡だと思います。
宝塚に…すべてを捧げました。
男役として生きることに、自分自身を…かけてきました。
こんな調子で続けていたら…終わるころには、身も心も…そげにそげて…消えてなくなってしまうんじゃないかと思ってきました。
ですが、すべてをやり遂げた今、わりと元気に…身も心も以前よりふくよかに…ここに立っております。
きっとそれは、わたくしが宝塚に捧げたもの以上に…たくさんの方が愛してきてくださったからだと思います。
わたくしはもう…タカラジェンヌとして夢を追うことはできませんが…ここに夢を継ぐ…素敵な…仲間がおります。
後輩たちに、夢の続きを託す…というセリフは…よくあるセリフだと思いますし、わたくし自身も何度も耳にしてまいりましたが、自分自身が…こんなに実感を持って…このセリフを言えるようになるなんて…思ってみませんでした…。
それがとっても嬉しいです…。
これからも、この愛する舞台に花を咲かせていく仲間たちが…恥ずかしい思いをしないよう…卒業生として、清く、正しく、美しく…生きてまいりたいと思います。
第27代花組トップスター明日海りお、本日をもって任を終えます。
長い間、本当にありがとうございました!
深々とおじぎをしたあと、頭を上げたときの明日海さんは、重責を下ろし、ほっとした穏やかな、晴れ晴れした美しい笑顔でした。
最後の曲は『さよなら皆様』
退団者5名と花組生が最後に一緒に歌う曲は『さよなら皆様』でした。
明日海りおさんを先頭に、4人の娘役の退団者が続いて最後の銀橋を渡ります。
銀橋の中央で、明日海さんは前半は、ともに退団する芽吹幸奈さん、白姫あかりさん、乙羽映見さん、城妃美伶さんと笑顔で視線を交わしてました。
後半は、1人銀橋から客席を見渡し、いまその輝く瞳に写る光景をじっくりと焼き付けているようでした。
幾度となく、この景色を見てきたであろう明日海さんですが、少しの間目を閉じて、何か特別に感じ入るものがあったように見えました。
2階席や1階席の奥まで見渡して、ゆっくりと本舞台へ戻っていきました。
明日海りおカーテンコールの言葉
大きな拍手とともに幕を下ろし、再び幕があきます。
自分のことではなく、組子への優しい心遣いにあふれるカーテンコールでした。
まずは、星組へ組替えになる綺城ひか理への激励の拍手を求める明日海さん。
「がんばってね!」
と後輩への心遣いが優しいですね。
綺城さんも「明日海さん率いられる花組にいられて、本当に幸せでした!ありがとうございました!」と深々とおじぎをしていました。
そして、相手役・華優希さんへ。
明日海りおさんの卒業公演ということになっておりますが、今日無事にお披露目公演をやりとげました、華優希でございます。
また明日からは、れいちゃん(柚香光)とともに頑張ってくれると思いますので、どうぞ応援のほどよろしくお願いいたします!
明日海さん、柚香さん、華さんが3人で深々とおじぎをしていました。
これまで4人の相手役を迎えてきた明日海さん。
送り出す立場ではなく、初めて送られる立場ではありながらも、相手役とこれからの花組のことをしっかり託して卒業する姿がとても頼もしく美しい挨拶でした。
退団者の言葉
退団者5名の一言コメントです。
城妃美伶「明日海さんの花組で生きた誇りを胸に、新しい度に出ようと思います。本当にありがとうございました」
明日海「旅路気をつけてね♪」
乙羽映見「本当に明日海さん率いる花組にいることができて、本当に幸せです。今まで本当にたくさん支えていただいて本当にありがとうございました。」
明日海「きれいよ~♪」
白姫あかり「本当に同じ言葉しか見つからないのですが…明日海さん率いる花組に、自分が今いられたことに本当に本当に感謝しています。そして皆さま、温かいお心をありがとうございました」
明日海「お気を使わず♪」
芽吹幸奈「もう1つ言いたいことがありまして…今日晴れましたのは、もちろん明日海りおさんの・・・晴れ男役パワーと…(明日海キザる)かわいいフルフルちゃんの魔法と…そして組長さんが昨日作ってくださったてるてる坊主のおかげです!」
明日海・ 芽吹「ありがとうございました!」
芽吹「(舞台袖に)大好きです!」
明日海「それだけでいいの?」
芽吹「はい」
最後に明日海さんのコメント。
「…はい、ではわたくしめも…。
もう本当にこんなに…麗しい娘役さんたちと一緒にここに並べて…幸せです。
そして、もう本当に…卒業するにあたり、もう色んな方から愛を頂いてきたんだな…って思うことばっかりで…ずっと見守ってくださった皆様…本当にありがとうございました。
そして組のみんなも…ありがとうござい…ありがとうでした。
もう本当に…12時越えてしまったら…タカラジェンヌじゃなくなってしまうので…もういっそいま…今!消えてなくなってしまいます!と思うほど…宝塚が大好きです!
宝塚!フォーエバー!!!」
明日海りお最後の花組ポーズ
「明日海りおの最後の花組ポーズをしたいと思いますので…」と花組ポーズをすることになった舞台と客席。
明日海さんの「花組ポーズの説明を…もうわたくしは、ちょっと力尽きてきちゃったので…れいちゃんお願いします」という優しい明日海さんならではのバトンを受けた柚香さんでしたが…ちょっと面白い事態になっていくのでありました。
明日海「ちょっと、足が開けないから…」
と柚香さんにさせようとするも、柚香さんは「最後の・・・大事な…ちょっと…」と腰を90度曲げておじぎしながら明日海さんにやってもらえれば…という雰囲気の柚香さん。
明日海「正しい見本が見せられない」
と言われ、「それでは失礼いたします」と始まったはいいものの…。
柚香「みなさま、足を肩幅にお開きください。そして左手を腰に」
そこですかさず!
明日海「明日海さんが「花組ー!」と申しましたら…(ほらほらみたいなかんじ)」
柚香さん、明日海さんへ近づき再度確認。
柚香「もう一度参ります!…皆様、明日海りお様が……「皆さまご一緒にー!」と申しましたら………(微妙な空気)あれ、違いますね!!!」
明日海さんに駆け寄り、なぜかその場で駆け足。
見かねた明日海さんは「ちょっと…わたしが言ってみる…」と、結局最後の花組ポーズの説明は明日海さんになるのでありました。
「ちょっと一番近いところで…覚えといて」と言われ反省気味の柚香さん(笑)
明日海「皆さま…危なくないように…」
と言いかけたところで、柚香さん、明日海さんの持っている花束に手を出しながら
柚香「お花持ってますか?お花…」と気を使うも…
明日海「お花はわたしのだから…」
柚香「すいませんでした…」
明日海「(柚香さんに)ポーズポーズの練習!」
と明日海さんが花組ポーズの説明開始。
明日海「わたくしが「花組ー!」と申しましたら、「最高ー!」という掛け声とともに…」
うなだれる柚香さんに
明日海「はい!左手はこう!右手がこう!」と見本をさせ
明日海「このポーズをよろしくお願いいたします」
明日海さんは、「花組ー!」と叫んだあと、花束を肩にかついで「最高!!」とかっこよく花組ポーズを決めていました。
そして、客席の盛り上がりをものままに、さらに花束をかついで、 いつものパン・パパパン!をも飛び出しました。
明日海「ちょっと…お行儀が悪いかんじになってしまいました…」
と会場を笑わせていました。
男役明日海りおへの最後のリクエスト
そして、組長さんから「何をしてもいいよ」と言われた明日海さんは、「どうしよう、何しよう…」ととまどいながら「こういうときに面白いことができる人に卒業祖はなりたい!」と決意を語りながらも、「どうしよう」とリクエストを募る明日海さん。
出てきたのは3つ。
①【ケサラ】
明日海「えー。歌うのっていいのかな…。でも、歌…」となり
②【愛の言葉】
明日海「愛の言葉…愛の言葉…。そうですね、愛の言葉。…じゃあちょっと…愛の言葉を……。何て言ったらいいんだろう…(苦笑)男役しか言えない言葉って何だろう…」と考えているときに
③【投げキス】
明日海「OK!(即答)受け取れよ」
と、かっこよく投げキスをして会場は大盛り上がり。
「ありがとうございます…」とトコトコ後ろへ戻る明日海さんのギャップがかわいらしい一瞬でした。
緞帳前で最後のカーテンコール
そして、最後に緞帳前に1人で登場した明日海さん。
その言葉に客席のファンは沸いていました。
次にお会いするときは…タカラジェンヌではなくて…ただのニセタカラジェンヌですので…あの…町で会いましたら、気軽にお声がけください。
(客席の「えーーー!」という反応に対し)
えーーーー?何でですか??
もちろん!!!
(客席再び盛り上がる)
これからは、この緞帳の裏にいる仲間たちが…わたしが成し遂げれなかった『Happiness』を…やってくれると思います。
(サヨナラショーで歌詞を忘れちゃったことを受けての言葉)
本当に皆さま、長い間…本当にありがとうございました。
皆様に愛していただいて…育てて頂いて…やってこれました。
男役人生、本当に幸せでした!!
ありがとうございました!
さようなら~。お気をつけて~。
さいごに
ここまで東京宝塚劇場での明日海りおさんの退団挨拶や様子を見てきました。
11月25日から日本中に、いや世界にも明日海りおロスの人たちがが大勢いることでしょう。
宝塚という輝きを放ち続ける世界で、さらにまぶしく輝き続けた明日海りおさんの姿はこれからも多くのファンの心に生き続けることでしょう。
明日海さんが宝塚を卒業されて、どんな第2の人生を歩んでいかれるのか引き続き注目していきたいと思います。
その輝きは別の世界でも、光を失うことなく、さらに輝いていかれることを願っています。
17年間という長きにわたり、わたしたち宝塚ファンの心を温かく、そしてときめかせてくれた明日海りおさん、本当にお疲れ様でした。
町でお見掛けしたら、本当に声をかけちゃうかもしれませんよ♪
ありがとうございました!!!