星組・紅ゆずると綺咲愛里の退団公演『GOD OF STARS』『Éclair Brillant(エクレール ブリアン)』が上演中です。
まるでコミックの原作でもあるのかと感じるほど、1人1人のキャラクターが個性豊かで、テンポよく展開されるストーリーにあっという間に時間が経ってしまう!
芝居『GOD OF STARS』では、ヒャダインさんが楽曲を提供しています。
ヒャダイン×演出家・小柳奈緒子先生のトークのまとめです。
果たして、どんな舞台に仕上がっているのでしょうか。
ずっと笑っちゃう作品
(稽古場で)最初笑っちゃいけないのかと思ったんだけど、雰囲気的に。
でも楽しかったから、ついつい(笑いが)出ちゃう!
演出の小柳先生は、笑いの多い作品でも
「慣れてきちゃって、反応がなくなってきちゃう。初日に向けて悩むところ」
としながらも、ヒャダイン氏が隣で笑ってくれたことに新鮮さを感じて嬉しそうな様子。
最初面白くても、何度も見ているとそれが普通になってきて、しだいに
「いまやってることって果たして面白いんだろうか・・・」という疑問に変わり
自信が揺らいでくる瞬間がありますよね。
稽古も終盤のマンネリ化してくる形として出来上がってきている現場では、
これまでいなかった新しい人の反応に救われたりするものですね。
オファーが来たときは・・・
「オファーが来たときはなぜわしだ!?と、びっくりした」というヒャダインさん。
「なんでだったんですか?」と演出の小柳先生のに聞いてみたところ
「ヒャダインさんの曲は、起伏に富んでいて構成が面白い」と言いつつ
宝塚の舞台でヒャダインさんの曲が流れているのを聞きたかった!
いつか見てみたかった。
と思っていたところに、星組公演を担当することになり
『GOD OF STARS』の世界観を表現するには、
ヒャダインさんの曲が一番合っているのではないかとオファーする経緯を語った小柳先生。
「そしたら見れるし!」
宝塚の男役がよく「自分の理想の男性を演じる」と言っていますが、自分の理想の世界観を具現化することができるのは、演出家の特権でしょう。
そんなヒャダインさんは宝塚の曲を作ることになったときの気持ちは
やったーーーー!!!
と思ったそうです。
これまでにもなんどか宝塚の舞台を観たことがあるヒャダインさんですが最初が「食わず嫌い」だったそう。
でも、実際に観てみたら・・・
もう・・・ファンタジー!
現実なんて・・・いらない・・・と思うくらいの【夢の世界】
作曲する時には、容赦なしに・・・
「やったー!」とは思ったものの「なんで自分にオファーが来たんだろう?」との疑問も消えなかったというヒャダインさん。
そこで、打ち合わせに行って、あらすじや当時まだ完成してはいなかったものの台本を見たら・・・「なるほど!だからか!」と納得したようです。
納得はしつつも、【宝塚】ということを意識しながら曲作りをはじめたものの
劇中に登場する【アイドルの対決曲】のシーンでは、宝塚はまったく意識せず
本当のアイドルに曲を作るつもりで作ったと語っています。
注目ポイントは
男性グループと女性グループのアイドルが登場し、一緒に歌っても1つの曲になる
という仕掛けがあるところ。
しかし、この曲に必要なのは【歌唱力】
自分のメロディを歌っているところに、違うメロディが入ってくるから
引っ張られるし、歌が上手くないと歌えない曲。
日頃、しっかりとレッスンを受けてる
宝塚の生徒たちだからこそ出来るだろうと思い、
難しいメロディも遠慮なしに取り入れた。
宝塚を意識しないで作ったガチなアイドル曲。
さらに、難関メロディも加わってどんな曲になっているのでしょうか?
観劇する際の注目ポイントですね。
主演の紅ゆずるの・・・
最初に登場するメインとなる曲に関しては・・・
紅さんが一番かっこよく男っぽさを出せるキーをすごく意識した。
低すぎず、高すぎず、一番かっこよくなるように。
さらに2番になると別の出演者が歌うことになるが、「同じメロディは絶対歌わせたくなかった!」らしく「違うメロディにして、そこから次に他の人が入ってくる・・・」
オールスターが出てくるかんじ。
最後は同じメロディをみんなでダン!ってかんじ。
初めて曲を聞いた小柳先生は「これこれ!これでいけるな」と直感したそう。
しかし「この曲に自分が歌詞をつけるんだ」とプレッシャーを感じたことはあったもののステキな曲に仕上がったそうです。
でも、なんとなく・・・
実際に観てみるとヒャダインさんは「宝塚をまったく意識して作ったわけではないから、ヅカらしくないのに、やったら(宝塚の中で歌ったら)宝塚らしくなる」と感じる一方、小柳先生は「でも、やっぱりヒャダインさんの曲。不思議だな~と」となるのが面白い。
宝塚のお客さんが見ても違和感なく、宝塚の良さが入っている。
でも、どこか今までと違う新しさがある・・・
そこがとても面白いし、生徒たちも新鮮さと
自分たちの持っているものを発揮できる
と小柳先生は「頼んでよかった」満足している様子でした。
もっとやりたい!
それを受けてヒャダインさんは
もっとやりたい!
もっと色んなことが出来ちゃうだろうなって思って・・・
「次々(オファー)ください!」というヒャダインさんに「そんなこと言っちゃうと大変ですよ」と小柳先生は笑いつつも答えていました。
この先、ヒャダイン×宝塚のコラボを再び見ることがあるかもしれませんね。
お互いのファンが・・・
今回のような新しい風が宝塚に入るということは【それぞれのファンが新しい世界を知る】という上でもとてもいい機会になることでしょう。
数々のコミックや小説を舞台化してきた宝塚歌劇ですが、その度に宝塚を知らなかった、あるいは食わず嫌いでこれまで劇場に足を運ばなかった人たちが宝塚の世界を知るきっかけにもなりました。
宝塚の舞台に【魅力】と感じ、新たなファンになる人が増えているのも事実。
また、宝塚ファンが新しい世界を知ることができるので、このようなコラボはわたしは大歓迎です。
お二人の話にもありましたが、作り手が意識したわけではないのに
宝塚らしくなる
という点も、宝塚の魅力の1つです。
宝塚色の中に確実に新しいものが生まれる舞台であり続けてほしいと感じます。